ポケモンGOに登場するウィロー博士。
彼はポケモントレーナーたちに『博士に送る』をしてもらうことで、お礼に『ふしぎなアメ』を渡します。
その行動に、様々な憶測が飛んでいるようです。
今から語られる物語は、そんな話の1つかもしれません・・・。
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目次
ウィロー博士の闇が窺える『博士に送る』
博士との出会い
それは、本当に暑い夏の日でした。
小学生の僕が、夏休みの自由研究のために昆虫採取をしていると、白衣を着た男の人が声をかけてきました。
「やあ、こんにちは。わたしはウィロー博士だ」
緑の蛍光色が眩しいランニングシューズやシャツを着用した若々しいファッションでしたが、髪の毛は白髪で、それなりの年齢だということは尋ねなくても分かりました。
今でいう、若作りの出で立ちだと感じました。
そもそも、自分で博士だと言い切ってしまうところが、僕にはどうしても不審者という印象を受ける要因でしかありませんでした。
でも、ウィロー博士はとても話が上手な大人でした。
僕の不信感を払拭するためか、子供なら誰もが興味を示すポケモンのことを話し始めました。
そして、それを研究している博士だと言うのです。
しかも、その研究に協力して欲しいと、お願いまでされました。
それでも、多少の戸惑いを感じる僕の前に、ウィロー博士はモンスターボールを差し出しました。
子供に玩具をあげる行為は、動物に餌付けをすることと同じであり、僕もまた、その効果に魅了されてしまいました。
しかも、あまりにも偶然に、フシギダネ、ヒトカゲ、ゼニガメが目の前に飛び出してきたものですから、僕の心はもうポケモンのことでいっぱいでした。
その時のウィロー博士の顔は、本当に笑顔でした。ゲットできたことを褒めてくれました。
でも、今になって思うと、僕が人生で初めてゲットしたヒトカゲもまた、ウィロー博士が事前に用意したエサだったのかもしれません。
ウィロー博士の研究に協力している大人たち
その頃、僕は友達とポケモンを捕まえることが日課になっていました。
最初は、靴擦れで足首に痛みが走りましたが、今はどこまでも歩いていきたい気分でした。
何故、友達と一緒なのかというと、友達もまた、ウィロー博士からポケモンの生態を研究する手伝いのために、ポケモントレーナーとなっていたからでした。
友達の中には、ピカチュウを最初にゲットした子もいました。
ピカチュウが欲しいと思っていた僕がその理由を尋ねると「逃げたら出てきた」と、よく分からないことを口にしていました。
「やあ、みんな。ポケモンは順調にゲットできたかい?」
ウィロー博士と再会したのは、ちょうどその時でした。
ウィロー博士は紹介したい人がいると、僕たち9人を施設の前に連れてきました。
その施設に近づくと、スポットライトがグルグルと回り始め、とてもオシャレだな、と子供ながらに感じました。
ウィロー博士は、ここがジムだと説明してくれました。
今までゲットしたポケモンを戦わせたり、防衛する施設だと言います。
すると、ジムから3人の大人が出てきました。
スパーク、ブランシェ、キャンデラと自己紹介をしてくれます。
それが終わるなり、ウィロー博士は彼らのチームに所属するように言い出しました。
ポケモンの研究をするためには、競うことも必要だと付け加えました。
僕はキャンデラがいる『ヴァーラー』に入ろうとしましたが、友達が『ミスティック』を強く勧めるものですから、渋々、ブランシェのもとに移動しました。
9人全員がブランシェの前に移動すると、ウィロー博士は食い気味で僕たちに歩み寄り、均等に移動するように言いました。
笑顔でしたが、本当に食い気味でした。
最終的にはウィロー博士が3、3、3と勝手に振り分けました。不運にも、僕を誘った友達は『ヴァーラー』、そして僕は『ミスティック』となりました。
無事にチーム分けが済むと、ウィロー博士は最後にこんなことを口にしました。
「ジム戦では、より強いポケモンが活躍することができるんだ。強いポケモンを手にいれるためには、進化させる必要がある・・・。そのためには、『ふしぎなアメ』というものが必要になるんだ。もし、それが欲しいと思った子は、わたしにポケモンを送ってくれ。そうしたら、そのポケモンに見合った『ふしぎなアメ』をあげよう」
その説明をしている時が、ウィロー博士は活き活きしていたように見えました。
『博士に送る』を強要される
友達の中には、ジム戦にハマった子もいました。
他のチームには負けたくないと、強いポケモンをたくさん育てていました。
どうやったら強くなるのか尋ねると「砂と飴を一緒に使うんだよ」と、よく分からないことを口にしていました。
ただ、そのために、ウィロー博士にポケモンを送っていることだけは理解できました。
「そういや、オレのニドラン♂元気かな?」
唐突に、そんなことを口にしたのです。
僕はびっくりして詳しい話を聞くと、ウィロー博士に送ったポケモンとは、その後会っていないというのです。
せっかく捕まえて仲良くなれたポケモンと会えなくなるのは寂しいな・・・その時の僕は、そんな風に感じました。
でも同時に、何か胸騒ぎのようなものを感じたことは覚えています。
「研究が忙しいんだろ?そのうち、戻ってくるって」
友達はそう言って笑っていましたが、僕にはどうしても腑に落ちませんでした。
そんなこともあり、僕はウィロー博士にはポケモンを送らず、ポケモンを集めることだけに集中しました。
それだけではジム戦で勝てないのは分かっていましたが、僕はそれほどジムには興味がありませんでした。
ポケモンを戦わせること自体に、僕は否定的だったからです。
そんな僕の心を見通していたのか、数日後にはウィロー博士が現れました。
「君は、わたしにポケモンを送ってはくれないみたいだね」
ウィロー博士の口元には笑みが浮かんでいます。でも、最初に出会った時のような優しい喋り方ではありませんでした。
僕は子供ながらにうまい嘘をついてみましたが、大人のウィロー博士を欺くことはできませんでした。
すると、ウィロー博士はこんなことを口にしました。
「確かに、わたしは君にモンスターボールを与えた。君は、もう立派なポケモントレーナーだ。でも、わたしはお願いしたはずだよね?ポケモンの研究の手助けをして欲しいと」
確かに、ウィロー博士はそう言いました。僕も、その気持ちがないわけではありません。
でも、ポケモンとしばらく会えなくなるのは寂しい・・・。僕は、素直な気持ちをウィロー博士に打ち明けました。
すると、ウィロー博士はニコッと笑います。
「研究が終わったらすぐに会えるよ、約束だ」
ウィロー博士は、僕のお気に入りだったイーブイを研究対象にしたいと相当な時間粘っていましたが、最後はコイルで妥協する形となりました。
とはいえ、コイルも僕にとっては大切なポケモンだったので、悲しそうな顔をしているコイルと離れるのは辛かったです。
それでも、そのうち会えると思っていたので、なんとか別れることができました。
でも、永遠に会えない友達もいることは、その時の僕には想像もつきませんでした。
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パソコンにポケモンを送るシステムができた理由
次にウィロー博士のことを目撃したのは、それから1週間後のことでした。
新聞に書かれている漢字や意味が難しく、全ては理解できませんでしたが、ウィロー博士がジュンサーさんと一緒に写っている写真だけは、今でもはっきりと覚えています。
事件が明るみとなった発端は、僕を『ミスティック』に入れる原因を作った友達でした。
送ったポケモンに会いたいと言っても、会うことができなかったことを不審に思ってでした。
その友達は、ウィロー博士の腕に、いつもは付けていなかった金色の時計が気になって尋ねると「これはPokémon GO Plusだよ」と、わけの分からないことを口したことがきっかけで、親に相談したようです。
次の日、家を訪ねてくれたジュンサーさんがコイルを連れてきた時は、本当に涙が止まりませんでした。
その事件がきっかけで、カントー地方に住むマサキという人が、捕まえたポケモンを自動でパソコンに転送するシステムを開発したようです。
また、初心者トレーナーを選出することができるのは、ポケモンリーグが認定した人物であるオーキド博士しか関わることができないようになったと言われています。
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